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2017年05月30日

鬼退治 出会いと別れ

AM2:30

前日に引き続き、眠い目を擦りながら準備を始める。

3:00には出発をすべく一行はまだ暗い宿の中を徘徊する。

前日にリーダーを組んだタックルは車に積み込んであったので、顔を洗って着替えれば即出発だ。

夜明け前に出かけるのはいつだって気持ちが高ぶる。

宿の外に出ると今日はあれだけ吹き荒れていた風もなく、無風に近い。

その分気温は低めで、若干の寒さを感じる。


道中、前日にあれだけ運を使ってしまったので、果たして残量が残っているかどうか心配になっていたのは内緒。

できる事ならば、帰りの飛行機が墜落しない分だけ残して使い切ってしまいたい気持ちだ。


そしてスタートポイントは前日と同じ場所。

条件は違うだろうが、実績という名の魔力には敵わない。

一行は昨日よりも身軽な気持ちで水に入りキャストを始める。

鬼退治 出会いと別れ

初挑戦で全員キャッチすると言う、ある意味偉業は成し遂げたので、みな気軽に見えるのは気のせいだろうか?


我々は日本の最北端の海、オホーツク海にいるわけだが潮が太平洋側なのか、宗谷を基準に見れば良いのか判断できない。

Youさん曰く、宗谷のそれとは全く違う時間と潮位なのだそうだ。

前日の激流のような潮と川の流れのぶつかりは無いものの、潮が聴き始めると川はやはり騒がしくなってくる。

海からやって来た水は、やっかいな物も運んでくる。

大量の海藻だ。

キャスト毎に絡みついてくる海藻を取るのだが、時折怪獣のような大きさの物が掛かってしまう。

だれかが引っ掛けてしまい、切られたであろうライン付きの海藻がくろぼうさんを手こずらせていた。

案の定自分にも巨大な海藻や流れている枝などが邪魔をして、釣りにくい。


釣れない時間が続き、いい加減腹が減ったので宿の女将が用意してくれた、ハンカチに包まれた握り飯を頂くのだが、
前日に女将が「何故か梅干しを食べると釣れないらしい」と面白いジンクスを教えてくれた。

残念ながら最初から梅干しが苦手なので、そのジンクスは当たりそうにないなと妙な自信を持つ。

冗談で女将に「一個だけ梅干しおにぎり入れといてね」と言ったが、実は本当に一個だけ有って誰か食べてるんじゃないだろうか?

そんな事を考えながら、気温が低い事もあり水の中で冷えた身体を温めようと、朝からカップ麺を作る事にした。

鬼退治 出会いと別れ

ライジャケを風防代わりに使い湯を沸かす。

やがて湯気が勢いよく噴き始めると、カップ麺に湯をそそぎ、握り飯を頬張りながらズルズルとすする。

冷えた体に染み渡る。

ただ、女将が握り飯にギッシリと詰め込んだギョウジャニンニクは、朝飯にはちとキツイ。


そんなやりとりで、モタモタしているうちに時合い?も過ぎてしまった様で静かな川面に戻る。

今日は昨日と違い、まだヒットはない。

陽も完全に登り、気温も上がり始めた頃に移動しようと言う事になった。


そう言えば、時系列が前後してしまうが、2日目に「北海道」「イトウ釣り」と検索すれば必ず出て来るであろう、
原生林の蛇行した上流部にも一応行ったのだ。

みな事前にグーグルマッップで散歩は済ませているようで、川岸を進む道を何故か知っている。

一つの橋を起点に上流に向かう一行の頭によぎるのは「クマ」の存在だ。

一応道内では警戒するように警告も出されているので、笛に熊鈴、ベアスプレーは身につけている。

それらを装備した者で前後を挟みながら進むのだが、腐葉土と若い熊笹に足を取られ息が上がってしまう。

蛇行する川の一端に陣をとり、キャストを開始する。

鬼退治 出会いと別れ

釣れる釣れないは別にして、イトウ釣りと言えばこのロケーション。

川での釣りは好きなので、一層テンションが上がる。

数投目で岸際に投げていたルアーにアタリがあった。

小さいようで、合わせたらプルプルと感触があったがすぐにバレてしまった。

物陰に身を隠し、虎視眈々と様子伺うイトウをイメージしながらキャストをした。

その後は全く釣れる気配もなく、しびれを切らせて対岸に移動したりしたが、我々にドラマは起きなかった。

この川の流れに身を置きたかったので、一応ウェーディングしてみるが、泥と腐葉土が思ったより体積していて
足がズブズブとめり込む。

砂が混じっていれば多少は安定するのだが、これは危険と判断して深入りはやめておく。

膝より上になるようならやめた方が良い。

2名ないし複数での釣行ならまだ良いが、単独では非常に危険である。

蛇行した川は抉れている事が多いし、垂直に掘られている事もある。

危険を事前に察知する事は自然相手の遊びでは重要な事なのだ。


もう少し良さそうなポイントにいける所まで行ってみようと、車を砂利道に入れ込むが・・・・・

この手の移動も考慮して「一応」4輪駆動のワゴンを借りたのだがお話にならない。

4人+釣り道具でサスペンションは根をあげてしまい、少しの段差で底を擦ってしまうのだ。

これは予約した自分の大きなミス。

街乗り4駆じゃだめだ。

もっと本格的な車を借りるか、軽バン2台に分乗したほうが良かった。

見かねたYouさんが気を効かせてくれて、運転していた番長以外は皆で歩くと言う。
鬼退治 出会いと別れ

自分の車ならばなんともないであろうこの程度の道で、四苦八苦するとは思わなんだ。

次回はもう少し考えよう。



3日目に話は戻るが、昼間は多分釣れないだろうと考え、一端ウェーダーを脱ぎ、今度は前日とは逆に空港側を目指す。

実はメンバーの一人、ヒデちゃんはここに来る時あまり観光をしていないのだと言う。

せっかく美味い海鮮があるし、最北端の岬も見ていないのだ。

では折角なので、釣り具の確保と腹ごしらえも兼ねて稚内まで行く事にする。

着替えている時に、ふと気がつく。

「あ、靴がない」

そうなのだ、今朝はポイントで焦らないようにとウェーダーを履いて宿を出発していたのだ。

ウェーダーを履いたまま稚内をウロウロしようか迷ったが、くろぼうさんが宿に寄ってくれると
言うので靴を取りに行く事し、事なきを得た。

小1時間で到着した稚内は雨に濡れていたが、寂れた雰囲気を出していて風情があった。

日曜日だと言うのに交通量も少なく、観光客も少ない。

これまた前回同様、少し寂れた釣具屋に入るが昨日よりは少しマシなラインナップ。

海系のルアーがメインに置いてあったが、これまたパッケージがパリパリの物を数個買う。

釣具屋を出た後は腹ごしらえと行こうじゃないか。

鬼退治 出会いと別れ

最北端の駅でパチリとした後は、目を付けていた海鮮丼屋に入る。

少々根が張るが、折角なのでみな贅沢をする。

鬼退治 出会いと別れ

なにか泡立つ物が写っているけど、番長はアルコールを全く受け付けない身体なのでご安心を。

自分で言うのもなんだが、こういう旅でこそ活躍する体質だと自負している。


ペロリと平らげた後は、各自お土産を自宅に送り、再度川に戻る。

途中に漁港で根魚を狙うんだと、立ち寄ってみたが、のっぺりとした海からは何も返信は無し。

遠目にタコの水揚げを観察しながらエンジンを掛け再度向かう。

前日の土曜日は流石に賑わっていたポイントだが、日曜日の今日はもっと混むかもしれない。

夕刻の時合いまでだいぶ時間があるが、今日は昼寝を控えて釣りをする事にする。

定位置と化したポイントの対岸には馬の背の砂地があって、そこで釣りしようと反対側に行くも惨敗。

戻って三度訪れたポイントには相変わらず釣り人がパラパラ居たが、定位置ポイントはブレイクから離れているし、
澄んだ水から見える通り、かなりの浅さなのだ。

満潮時は多少上がってくるが、それでもかなり前へ前へと入っていける。

前日の大物を仕留めた時に横へ横へと、嫌な動きをしたのはこの水深のせいなのだ。

真っ直ぐ深場に行かず、横に走ったのは水深が浅いからに他ならない。

この浅い水深が、我々に釣果をもたらし、次回の釣行における大きなヒントになり得るのだ。

次回は同じ状況かどうかは推測できないが、少なくともここのイトウの習性は理解できた気がする。

まあ習性が解ったからと言って、そうそう簡単に釣れるわけもなく、四苦八苦するのは何時もの事なんだが。


途中に沖の方にボイルが見えて、イトウがジャンプして姿が丸見えになっていた。

イトウってあんな風にジャンプするんだと感心する。

そう言えば前日からやたらと鳥が旋回してたが、どうやらこの手のボイルに反応していたようだ。

ふと邪な考えが浮かび、堤防の先端でルアーを投げてはみるが釣れる訳もない。

どうも堤防の釣りは向いてない。

そんな中でも大型を2匹もキャッチしたくろぼうさん。

くろぼうさんはYouさんと自分が通していたレンジとは違うレンジを黙々と通していた。

この事が後で重要な事に気がつくのだが、この精神力には毎度感心させられる。

こう見えて意外と言うかミーハーなので、自分の釣法よりも釣果を優先する自分とは真逆だ。

最後はいつも結果を出すくろぼうさん。

一方ヒデちゃんも毎度ご一緒させていただいているが、いつも気がつくと釣れてる。

決して自分のように騒ぐ事はないが、シレっと釣るのがヒデちゃん流。

「釣れちゃった」と言ってはいるが、ちゃんと考えを持って狙っているのは知っている。

彼もまた釣りウマな一人。

勉強する所が多々ある。

何かの縛りがあるわけでもないので当然だが、同じ地に居てもそれぞれが、考えを持ち挑んでいる。

共通するのはみな「釣りが好きなんだなぁ〜」と言う言う事。

ほんと、みんな楽しんでる。

自分は釣り好きかな?楽しんでるかな?なんて事をいつも考えちゃうのは悪い癖。

そんな邪な考えですから、運を昨日で使い果たしてしまったようだ。

帰りの分が残っていると良いのだが・・・・・

そうは言っても、この旅でアメマスを含め4本もキャッチ出来たのは幸運だった。

全体では20本は軽く超えていただろう。

初めてにしては上出来すぎて、次回が辛くなる。




しかし釣りと言うのは実に不思議な物である。

数ある趣味の中でも、自分本意ではなく自然、野生からの応答を待たねばならない唯一の趣味。

狩猟とはまた違う意味での「狩」は人間の本能を、ほんの少し刺激する。

釣りたいと願っても野生が相手では容易ではない。

本当に不思議なものだ魚釣りというものは。




この日は結構遅くまで川に浸かっていた気がする。

鬼退治 出会いと別れ

夕陽をバックに写る釣り人はいつも美しい。

Youさんと二人並んで、時折冗談をかわしながら「釣れなくてもいいや」と本気で思った。

岸辺で待つくろぼうさんとヒデちゃんを待たせてはいるが、いつまでもいつまでもこうして居たいと
心から願う。

永遠に続かないかと切に願う。

北海道遠征での釣りは今日が最終日。

明日も早朝ならば2時間は釣りが可能だが、荷造りもしなきゃならない。

夕食を作って待っている女将さんにも少々気後れがする。


幾度となく投げた「泣きの一投」

いったい何回「最後ね」と言いながら投げたであろうか。

欲を言えば魚からの返信が欲しい所だが、キャストを止めれば川から上がらざるを得なくなり、それは
北海道での釣りの終わりを意味する。

それが嫌でキャストをしていたと言っても過言ではない。

きっと皆同じ気持ちだったと思う。

そして本当に最後の一投を終わらせ、川辺を車に向かって歩き出す。

鬼退治 出会いと別れ

くろぼうさんが流木で作ってくれたロッドスタンド。

夕陽に映えてとても綺麗に見えてた。

ありがとう。

陳腐な台詞は狩には必要ないが、この旅に・・・そして何より一緒に旅してくれた友人にありがとう。

釣果だけを求めるならば一人で来たって良い。

だが、この友人達が一緒だから旅に出る事ができた。

残念ながら今回は来れなかった友人達もいつも応援してくれてた。

ブログを初めてから毎年みんなで集まっては楽しんでる晩秋の琵琶湖。

最初の琵琶湖から10年の月日が流れ、与太話だった北海道遠征も現実の物になった。

10周年にふさわしい旅となった今回。

翌日の帰りの話もあるけれど、今回はここまでで一旦終了。



空港での別れはいつもの如くアッサリと。

まるで来週も会うかの如く「じゃまたね」で別々に歩き出す。

それがまたいい。

また一緒にこの土を踏もう。

今度は全員で旅をしようじゃないか。

この旅の一部始終に一喜一憂してくれる彼の地の友人達もきっと同じ気持ちになるだろう。

本当に来てよかった。

釣りの楽しみは釣るだけにあらず。



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