2017年05月29日
鬼退治 2日目
2:30 起床
昨夜はベラベラと喋ったり準備をしたり、北海道に来た初日という事もあり中々寝付けず23:00頃の就寝。
「あっという間」と言うのがこれほど当てはまるものは無い程に、目覚ましがけたたましく鳴り、寝ぼけまなこで準備する。
まだ暗がりの中いそいそと準備を済ませた一行は車に乗り込み、前日下見していたポイントに向かう。
前日の大事件で、やや興奮気味の車内には「楽勝ムード」が漂っていた。
釣りを始め、潮が効き始めると川の様子は一変し、何やら水面も賑やかになってくる。
イトウらしきボイルもあちこちで起きて、テンションは最高潮に達する。
友人達も思い思いの場所に入り、投げては巻くの繰り返し。
はて?昨日の様子からすればもう少し何か返事があっても良さそうな物だが・・・・
少なくともアタリらしきものは番長には無い。
そんな中でもシレっとまた釣ってる友人が一名。
・・・・・・・・言葉も出ない。
そうこうしているウチにすっかり夜も明けてしまい、時合も過ぎたようだ。
うーむ・・・・やはりそう簡単には釣れてくれないか。
相変わらず風が強いが昨日の程ではなく、気温も上がり上着はいらない位の気持ちの良さ。
他のポイント視察と昼飯にジンギスカンをたらふく詰め込もうと移動を開始する一行。
向かった先は小規模な流れ込み。
午前中のポイントの小型版と言った感じで、同じような条件が揃ってる。
事前の調査ではあらゆる水は繋がっていて、そこかしこでイトウは釣れるらしいのだが決してコンスタントでは無い。
あくまでも断続的な情報だ。
釣りを終え片付けをしていたカップルに話を聞くと、サーフでボイルがあるらしく良型のアメマスが釣れると言う。
もちろんイトウも釣れるらしい。

アメマスか・・・・そういえば、午前は小さいながらもアメマスを釣ってる人がいたな。
確か名前はY・・・・・・しかし友人の自分が言うのもアレだが、この人は一体何者なんだろうか?
サーフ組と流れ込み組に分かれ、小1時間ほど釣りをするが反応はなかった。
それに根掛かりポイントでスタメンルアーを失ってしまったメンバーもいるので、やや早めだがエネルギーとルアーの補充に釣具屋に向かう。
海岸線を40km程行った所にある観光湖のある町に向かい、金物屋と併設の小さな釣具屋に入りルアーを補充する。
その釣具屋さんのルアーパッケージは劣化していて、強く握るとパラパラと割れてしまう程古びたルアーが少しだけ並んでいた。
既にカタログからも消え去り、出番を待っているルアー達。
選択肢はほぼ無い状況だが、思い思いの戦略に少しでも近いルアーをレジに持って行く。
会計を済ませ出口に向かう時、何気なく見た棚の上に爆竹が置いてあったので、気の良さそうなおばちゃんに
「クマ出る?」と聞くと「出るよ」と言われる。
まぁクマスプレーと音の出る何かを持ってりゃ平気と頼もしいお言葉を頂戴して店を後にする。

そしてお目当のジンギスカンを求め一向は目を皿にして探すが見当たらない。
ネットで検索しても情報はなく、仕方がないのでコンビニで弁当を買い公園でお弁当を食べる。
旅と言えば地の食材を食べたくなるのが人情ってもんだが、時にはこんなのもいい。
ましてや気の知れた友人と食べるとなれば、それもご馳走だ。
ポカポカとした陽気の中で満たされて行くお腹と心。
しかしながらこの観光湖での写真は一枚も無い。
大自然溢れる最北地で、違和感を覚える程人工的なイメージがあったからだ。
さてと、40kmの道のりを今朝のポイントまで戻る事にしましょうか。
きっと途中の河川でも釣りは成立すると思うのだが、釣り人の悲しい性で実績のある所に頭が支配されるのだ。
ポイントまで40kmと行っても都会と違い、信号と交通量の少ない一本道ですから、免許の点数を気にしなくてもアっと言うまに到着する。
到着すると番長以外は準備を手早く終えてテクテクと向かうのだが、この時間・・・・お腹も満たされたし車で昼寝と決め込む。
ここまで来て昼寝????と言われたが、昼寝が好きなのだから仕方がない。
途中何度か携帯の音に気がつくが、思いの他グッスり寝てしまい、ハッキリと目が覚めたのは午後15:00にほど近い頃だったと思う。
3時間ほど寝てしまったらしく、寝ようと思えばまだ寝られるが流石にそれはもったいない気がしてノソノソの準備する。
正直言えば、九頭竜川で惨敗を喫していた自分は釣れる気がしてなかったのだ。
携帯にはヒデちゃんも釣り上げ、くろぼうさんに限ってはかなりの大型を仕留めたと言う知らせが入っていた。
みんな流石の猛者共だ。
この場面できっちり結果を出す能力は、毎回ご一緒させていただいて身に染みてるはずなのに、改めて思い知る。
友人のキャッチに嬉しくもあったが、心の中では「全員キャッチの夢は果たせないかもな」なんて弱気になっていた。
遠い遠いと言いながらも、すでに距離感の鈍った琵琶湖ですら坊主でも悔しくもなんともない。
また来ればいいやってな感じ。
しかし、この北海道遠征となるとやはり釣りたい気持ちはどこかで燻っている。
やや重い足取りでフラフラと車から離れ、皆のいる所に向かうも、投げる気力も失せてる。
前日から午前中にかけて吹き荒れていた南南西の風は北風に変わり、我々の真正面から吹きつけていた。
若干風速は弱いが、ただでさえ釣れない自分に追い打ちをかけるような風。
それでも隣で黙々と投げ続けるYouさんに励まされながら、半ばイヤイヤ投げては巻きを繰り返すが、そんな気持ちで釣れる程甘くはないのが釣り。
こりゃ夕飯時は一言も口を開くまいと心に決め、感じの悪い宴が必至の様相を呈す。
ネガティブな思いが支配していき、もうねそりゃ絶望的てなもんさ。
「よし釣りは向いてない、やめよう」とか「帰ったらロッドは全部ぶち折って、リールはハンマーでスクラップにしよう」
とか「ルアーは全部ミキサーにかけて粉々にしよう」などという思いが駆け巡る。
釣りの楽しみは釣るだけにあらず
これは自分の座右の銘だが、釣りをしてない時も楽しみましょうって意味合いが程強く、まぁ釣れなくてもいいやってスタンス
でもある。
しかし釣れなくても楽しいっちゃ楽しいのだが、願わくは釣れてほしいと思う一面もある。
なんせ今回は「幻の魚」だから。
そりゃ釣りたいわ。
そんな中、ふと横で投げてるYouさんのルアーや巻き方を見ると、明らかに自分と違う事に気がつく。
この場面まで来ないと気がつかない己の未熟さに嫌気を覚えつつ、真似をしてみる。
するとどうだろう?
いままで無かったアタリがあるじゃないか!!!!
夕刻のゴールデンタイムに何言ってんだかと思いつつも、一様にやって見る。
だが、時折アタリはある物のヒットまで至らず決定打に欠ける。
時合いもピークに達し、陽も傾き始めた頃にそれまで使っていたルアーを何気なく変えてみた。
特にこれと言った戦略があった訳でもなく、なんとなくルアーのシルエットと色合いがYouさんのに似ていたから。
ただそれだけ。
そしてドラマは突如として起きた。
グン!!
鈍く、今までと違う感じのアタリを感じ、思わず合わせる。
重みを感じ「乗った!!!!」と叫んだ。
力強く動き出す生命感に心が踊る!!!
ついに来たか!!!
グングンと首を振る魚はやがて沖に向かい走り出す。
さすがに魚偏に鬼と書くだけあって引くねぇ!と思いながらロッドで支える。
抵抗する魚の方を見るとゴバァ!!と尻尾振ったのが見えた!
デカイ・・・・これはデカイ。
数回ドラグを出されたが、ロッドで耐えて横の浅瀬に誘導する。
これはトラウトと言うよりシロ鮭の引きに似てるなと一瞬思う。
だが、尾びれが見えた時にやたらと走るので「スレか?」と思い、少々がっかりしてしまうが
なんせ北の地での初の獲物。
それでもなんとか物にしようと、必死で浅瀬に誘導した時に見えたリアフックだけが掛かった口元。
しっかり食ってる!!!!
いよいよ浅瀬に寄せてみると最後の抵抗を見せ、思わず「メーター行った!」と思った。
その位大きく感じたのだ。
ずり上げるかどうか迷ったが、無理と判断してくろぼうさんにネットでキャッチしてしてもらう。
ネットインした時に思わず歓喜の言葉を上げ仰け反ってしまい、倒れこむ。
絶叫に近い歓喜の言葉が夕刻の河原に響き渡る。
人生で最も息を飲んだ戦いだった気がする。
途中何度もラインが切れるかバレるイメージに襲われたので、キャッチできた時の安堵感は今でも鳥肌が立つ。
やっと・・・・本当にやっと釣れた!と思ったのが大物で余計に嬉しい。
メーターには若干届かなかったが、まずまずの大物じゃないか。
Youさんと握手を交わし、目頭が熱くなり手足が震えながらも横たわる巨魚を抱きかかえる。
長い事夢見てきた魚が今自分の手の中にいる。
ズッシりと重いその巨魚は大きく口を開けて、水に帰せと怒っている様でもあった。

感無量。
まさにその言葉に尽きる夕刻のドラマ。
一生忘れる事はないだろう出来事。
冷たい北風は相変わらず吹いていたが、心の中は暖かい血で滾っていた。
釣りは釣ってなんぼ
手のひら返しの言葉が脳裏に浮かび、釣り人はかくも卑しい人種なんだと再確認。
一匹の魚が釣り人を狂わせるに容易い存在だと気づかされる。
ここにきて初めて北海道と言う日本の懐の深さを感じる。
雄大な自然の中に身をおきつつ、目の前の水の流れしか目に入らないのはどの釣り人も同じ。
あらためて夕刻の海を見渡すと、もうなんとも言えない気持ちが溢れてきた。
そして何より不思議なのは、一匹釣って乗り始めると止まらない事だ。

画像をぼやかしているのではなく、携帯カメラのレンズが濡れていた事に気がつかずこんな画像になってしまった。
なぜかその後ももう一匹釣り、さらにはアメマスまで釣る始末。

掛けた魚がバレて、なぜか水面から帆立の貝殻が勢い良く飛び出してきた時はびっくりした。

何がどう作用するのかわからないが、この日の帰りはきっとクマにでも遭遇し、なぶり殺しにあいそうな勢い。
全ての運をここで使い果たしたのでは無いか?と思うほどアタリもある。
これは帰りの飛行機も心配だ。
ダンマリで終わろうとしていた宴も、無事に全員キャッチで楽しい夜になりそうだと、皆が安心した様子。
さぁ豪華な夕食を頬張るべく宿に向かおう。

もしもこの村にジンギスカンを食べさせる店があれば、絶対に酒と共に皆に振舞っていた自信がある。
寝際にどうしても外に出たくなり、フラフラと少し散歩をした。
残念ながら今回の旅では一度も満天の星空は見せてくれなかったが、その夜は遅くまで何度も何度も写真を見てはニヤやけていたのを思い出す。
昨夜はベラベラと喋ったり準備をしたり、北海道に来た初日という事もあり中々寝付けず23:00頃の就寝。
「あっという間」と言うのがこれほど当てはまるものは無い程に、目覚ましがけたたましく鳴り、寝ぼけまなこで準備する。
まだ暗がりの中いそいそと準備を済ませた一行は車に乗り込み、前日下見していたポイントに向かう。
前日の大事件で、やや興奮気味の車内には「楽勝ムード」が漂っていた。
釣りを始め、潮が効き始めると川の様子は一変し、何やら水面も賑やかになってくる。
イトウらしきボイルもあちこちで起きて、テンションは最高潮に達する。
友人達も思い思いの場所に入り、投げては巻くの繰り返し。
はて?昨日の様子からすればもう少し何か返事があっても良さそうな物だが・・・・
少なくともアタリらしきものは番長には無い。
そんな中でもシレっとまた釣ってる友人が一名。
・・・・・・・・言葉も出ない。
そうこうしているウチにすっかり夜も明けてしまい、時合も過ぎたようだ。
うーむ・・・・やはりそう簡単には釣れてくれないか。
相変わらず風が強いが昨日の程ではなく、気温も上がり上着はいらない位の気持ちの良さ。
他のポイント視察と昼飯にジンギスカンをたらふく詰め込もうと移動を開始する一行。
向かった先は小規模な流れ込み。
午前中のポイントの小型版と言った感じで、同じような条件が揃ってる。
事前の調査ではあらゆる水は繋がっていて、そこかしこでイトウは釣れるらしいのだが決してコンスタントでは無い。
あくまでも断続的な情報だ。
釣りを終え片付けをしていたカップルに話を聞くと、サーフでボイルがあるらしく良型のアメマスが釣れると言う。
もちろんイトウも釣れるらしい。

アメマスか・・・・そういえば、午前は小さいながらもアメマスを釣ってる人がいたな。
確か名前はY・・・・・・しかし友人の自分が言うのもアレだが、この人は一体何者なんだろうか?
サーフ組と流れ込み組に分かれ、小1時間ほど釣りをするが反応はなかった。
それに根掛かりポイントでスタメンルアーを失ってしまったメンバーもいるので、やや早めだがエネルギーとルアーの補充に釣具屋に向かう。
海岸線を40km程行った所にある観光湖のある町に向かい、金物屋と併設の小さな釣具屋に入りルアーを補充する。
その釣具屋さんのルアーパッケージは劣化していて、強く握るとパラパラと割れてしまう程古びたルアーが少しだけ並んでいた。
既にカタログからも消え去り、出番を待っているルアー達。
選択肢はほぼ無い状況だが、思い思いの戦略に少しでも近いルアーをレジに持って行く。
会計を済ませ出口に向かう時、何気なく見た棚の上に爆竹が置いてあったので、気の良さそうなおばちゃんに
「クマ出る?」と聞くと「出るよ」と言われる。
まぁクマスプレーと音の出る何かを持ってりゃ平気と頼もしいお言葉を頂戴して店を後にする。

そしてお目当のジンギスカンを求め一向は目を皿にして探すが見当たらない。
ネットで検索しても情報はなく、仕方がないのでコンビニで弁当を買い公園でお弁当を食べる。
旅と言えば地の食材を食べたくなるのが人情ってもんだが、時にはこんなのもいい。
ましてや気の知れた友人と食べるとなれば、それもご馳走だ。
ポカポカとした陽気の中で満たされて行くお腹と心。
しかしながらこの観光湖での写真は一枚も無い。
大自然溢れる最北地で、違和感を覚える程人工的なイメージがあったからだ。
さてと、40kmの道のりを今朝のポイントまで戻る事にしましょうか。
きっと途中の河川でも釣りは成立すると思うのだが、釣り人の悲しい性で実績のある所に頭が支配されるのだ。
ポイントまで40kmと行っても都会と違い、信号と交通量の少ない一本道ですから、免許の点数を気にしなくてもアっと言うまに到着する。
到着すると番長以外は準備を手早く終えてテクテクと向かうのだが、この時間・・・・お腹も満たされたし車で昼寝と決め込む。
ここまで来て昼寝????と言われたが、昼寝が好きなのだから仕方がない。
途中何度か携帯の音に気がつくが、思いの他グッスり寝てしまい、ハッキリと目が覚めたのは午後15:00にほど近い頃だったと思う。
3時間ほど寝てしまったらしく、寝ようと思えばまだ寝られるが流石にそれはもったいない気がしてノソノソの準備する。
正直言えば、九頭竜川で惨敗を喫していた自分は釣れる気がしてなかったのだ。
携帯にはヒデちゃんも釣り上げ、くろぼうさんに限ってはかなりの大型を仕留めたと言う知らせが入っていた。
みんな流石の猛者共だ。
この場面できっちり結果を出す能力は、毎回ご一緒させていただいて身に染みてるはずなのに、改めて思い知る。
友人のキャッチに嬉しくもあったが、心の中では「全員キャッチの夢は果たせないかもな」なんて弱気になっていた。
遠い遠いと言いながらも、すでに距離感の鈍った琵琶湖ですら坊主でも悔しくもなんともない。
また来ればいいやってな感じ。
しかし、この北海道遠征となるとやはり釣りたい気持ちはどこかで燻っている。
やや重い足取りでフラフラと車から離れ、皆のいる所に向かうも、投げる気力も失せてる。
前日から午前中にかけて吹き荒れていた南南西の風は北風に変わり、我々の真正面から吹きつけていた。
若干風速は弱いが、ただでさえ釣れない自分に追い打ちをかけるような風。
それでも隣で黙々と投げ続けるYouさんに励まされながら、半ばイヤイヤ投げては巻きを繰り返すが、そんな気持ちで釣れる程甘くはないのが釣り。
こりゃ夕飯時は一言も口を開くまいと心に決め、感じの悪い宴が必至の様相を呈す。
ネガティブな思いが支配していき、もうねそりゃ絶望的てなもんさ。
「よし釣りは向いてない、やめよう」とか「帰ったらロッドは全部ぶち折って、リールはハンマーでスクラップにしよう」
とか「ルアーは全部ミキサーにかけて粉々にしよう」などという思いが駆け巡る。
釣りの楽しみは釣るだけにあらず
これは自分の座右の銘だが、釣りをしてない時も楽しみましょうって意味合いが程強く、まぁ釣れなくてもいいやってスタンス
でもある。
しかし釣れなくても楽しいっちゃ楽しいのだが、願わくは釣れてほしいと思う一面もある。
なんせ今回は「幻の魚」だから。
そりゃ釣りたいわ。
そんな中、ふと横で投げてるYouさんのルアーや巻き方を見ると、明らかに自分と違う事に気がつく。
この場面まで来ないと気がつかない己の未熟さに嫌気を覚えつつ、真似をしてみる。
するとどうだろう?
いままで無かったアタリがあるじゃないか!!!!
夕刻のゴールデンタイムに何言ってんだかと思いつつも、一様にやって見る。
だが、時折アタリはある物のヒットまで至らず決定打に欠ける。
時合いもピークに達し、陽も傾き始めた頃にそれまで使っていたルアーを何気なく変えてみた。
特にこれと言った戦略があった訳でもなく、なんとなくルアーのシルエットと色合いがYouさんのに似ていたから。
ただそれだけ。
そしてドラマは突如として起きた。
グン!!
鈍く、今までと違う感じのアタリを感じ、思わず合わせる。
重みを感じ「乗った!!!!」と叫んだ。
力強く動き出す生命感に心が踊る!!!
ついに来たか!!!
グングンと首を振る魚はやがて沖に向かい走り出す。
さすがに魚偏に鬼と書くだけあって引くねぇ!と思いながらロッドで支える。
抵抗する魚の方を見るとゴバァ!!と尻尾振ったのが見えた!
デカイ・・・・これはデカイ。
数回ドラグを出されたが、ロッドで耐えて横の浅瀬に誘導する。
これはトラウトと言うよりシロ鮭の引きに似てるなと一瞬思う。
だが、尾びれが見えた時にやたらと走るので「スレか?」と思い、少々がっかりしてしまうが
なんせ北の地での初の獲物。
それでもなんとか物にしようと、必死で浅瀬に誘導した時に見えたリアフックだけが掛かった口元。
しっかり食ってる!!!!
いよいよ浅瀬に寄せてみると最後の抵抗を見せ、思わず「メーター行った!」と思った。
その位大きく感じたのだ。
ずり上げるかどうか迷ったが、無理と判断してくろぼうさんにネットでキャッチしてしてもらう。
ネットインした時に思わず歓喜の言葉を上げ仰け反ってしまい、倒れこむ。
絶叫に近い歓喜の言葉が夕刻の河原に響き渡る。
人生で最も息を飲んだ戦いだった気がする。
途中何度もラインが切れるかバレるイメージに襲われたので、キャッチできた時の安堵感は今でも鳥肌が立つ。
やっと・・・・本当にやっと釣れた!と思ったのが大物で余計に嬉しい。
メーターには若干届かなかったが、まずまずの大物じゃないか。
Youさんと握手を交わし、目頭が熱くなり手足が震えながらも横たわる巨魚を抱きかかえる。
長い事夢見てきた魚が今自分の手の中にいる。
ズッシりと重いその巨魚は大きく口を開けて、水に帰せと怒っている様でもあった。

感無量。
まさにその言葉に尽きる夕刻のドラマ。
一生忘れる事はないだろう出来事。
冷たい北風は相変わらず吹いていたが、心の中は暖かい血で滾っていた。
釣りは釣ってなんぼ
手のひら返しの言葉が脳裏に浮かび、釣り人はかくも卑しい人種なんだと再確認。
一匹の魚が釣り人を狂わせるに容易い存在だと気づかされる。
ここにきて初めて北海道と言う日本の懐の深さを感じる。
雄大な自然の中に身をおきつつ、目の前の水の流れしか目に入らないのはどの釣り人も同じ。
あらためて夕刻の海を見渡すと、もうなんとも言えない気持ちが溢れてきた。
そして何より不思議なのは、一匹釣って乗り始めると止まらない事だ。

画像をぼやかしているのではなく、携帯カメラのレンズが濡れていた事に気がつかずこんな画像になってしまった。
なぜかその後ももう一匹釣り、さらにはアメマスまで釣る始末。

掛けた魚がバレて、なぜか水面から帆立の貝殻が勢い良く飛び出してきた時はびっくりした。

何がどう作用するのかわからないが、この日の帰りはきっとクマにでも遭遇し、なぶり殺しにあいそうな勢い。
全ての運をここで使い果たしたのでは無いか?と思うほどアタリもある。
これは帰りの飛行機も心配だ。
ダンマリで終わろうとしていた宴も、無事に全員キャッチで楽しい夜になりそうだと、皆が安心した様子。
さぁ豪華な夕食を頬張るべく宿に向かおう。

もしもこの村にジンギスカンを食べさせる店があれば、絶対に酒と共に皆に振舞っていた自信がある。
寝際にどうしても外に出たくなり、フラフラと少し散歩をした。
残念ながら今回の旅では一度も満天の星空は見せてくれなかったが、その夜は遅くまで何度も何度も写真を見てはニヤやけていたのを思い出す。
Posted by 番長 at 10:38
│釣り日記